『知ることより考えること』池田晶子著
女性の哲学者が書いた本です。
近所の図書館で借りてきました。
哲学を、時事問題などを取り上げながら読みやすく面白く書いてあります。
この著者の力の抜け具合がとてもいいです。
文筆家だと本人は言っていますが哲学者です。
人とは?生きるとは?老いるとは?死ぬとは?
そう自分に問うことの出来る人はみな哲学してるんだと書いてあります。
私の母方の祖父が、寝たきりではありませんが介護の必要な状況にあります。
おじおば〔母の兄弟(姉妹)〕が交替で介護しています。
実際には昼夜関係なくそばにいてあげています。
老いた人たちが、もっと老いた人の世話をしているということです。
人類は初めてこういう状況に直面しました。
だから、何が正しくて何が正しくないとは誰も答えを知らないのです。
祖父は、若い頃からこれまでに、何度も死にかけたことがあります。
でも全然死なない。すごい生命力です。
一時、危篤状態となった時も、
我々孫たちは、
「きっと死なないよ。スーパーじぃちゃんだから」と話していました。
でもいつかは死ぬんです。それは頭ではわかっています。
その中で、皆、あることが前提になって生活している。
そう、自分より先に死ぬのは祖父だと仮定している。
でも、そう仮定しながら忘れていることもあります。
それは、誰かが(自分が)そばにいる時に祖父は死ぬかもしれないということを。
だれでも死ぬ時は死ぬのですが、親の介護をしている間に、自分自身の「死」を考える暇も無く、自分が先に死んでしまう可能性があるのです。
「死」について考えるということは、当然、今をどう生きるかということと直接関わってきます。
「生」のサイクルが変化してきた現代は、これまでの死生観に新しい価値を付加しなくては、つじつまが合わなくなってきたのではないのでしょうか。
- 知ることより考えること
- 池田 晶子
- 新潮社 2006-10-17
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