原研哉の本のまえがきより
何かを分かるということは、何かについて定義できたり記述できたりすることではない。むしろ知っていたはずのものを未知なるものとして、そのリアリティにおののいてみることが何かをもう少し深く認識することに繋がる。
(中略)
机の上で軽くほおづえをつくだけで世界は違って見える。ものの見方や感じ方は無数にあるのだ。その無数の見方や感じ方を日常のものやコミュニケーションに意図的に振り向けていくことがデザインである。
そういえば、私は長い時間、デザインと真正面から向かい合っていないような気がします。それは、枠を決めたり、ものごとを簡潔に定義したりする方が楽だからです。
「リアリティにおののいてみること」から逃げているのだと思います。
もう少し離れた位置から全体を見渡せるような、また逆に、一歩踏み込んで探れるような、そういう視点を持てるようにならなければ。
- デザインのデザイン
- 原 研哉
- 岩波書店 2003-10-22
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